改憲、護憲の前にまず「知憲」を! 憲法をどうするかを決めるのは私たち国民

2016年5月31日 22時28分 | カテゴリー: 人権・多様性, 活動報告

kaneko san015 5月28日、憲法学習会「9条だけじゃない! 自民党憲法改正草案を読む~安倍政権の目論見」を開催しました。安倍総理が憲法改正に意気込む中、気になるのは「何を」「どう」変えようとしているかということ。これまで何度か学習会に参加して、金子匡良さんの解説がとてもわかりやすかったので、ぜひ市民のみなさんとともに学びたいと思い企画しました。

  • 9条以外の改正で自民党は何を目論む?

    「あなたは改憲派?護憲派?」―この問いは日本だけにある特徴と金子さんは言います。たとえばヨーロッパのどこかの国で同じ問いをしたとしたら、まさに「憲法のどの部分をどう変えるか、それがわからないとこの問いには答えられない」となるはずです。
    これは、日本では、憲法を変えること=9条改正を意味するもの、となってしまっていることを意味します。私自身も改憲は9条改正の文脈で捉えがちでした。ここ2年ほどの間にいろいろな講師から憲法を学ぶうち、憲法の問題はもっと広く深いということを知りました。もちろん、9条の問題は重要ですし、日本の歴史を考えると仕方がないこととも言えるかもしれませんが、憲法は9条だけの問題ではありません。
    今回の学習会で学んだことをお伝えします。

  • 立憲主義ってなんだ?

    憲法学習会①017 憲法の土台はすべての個人の生き方・人生を最大限尊重することが根本になっています。しかし、その個人の自由を脅かす可能性が一番大きいものが国家権力です。だから、憲法によって権力者を縛る。それが立憲主義です。
    そして、立憲主義を実現するための条件が二つ、権力者は法に支配されようとする意思と行動をもつこと、国民の側は法に支配されようとしない権力者を排除しようとする意思と行動を持つことです。安倍首相は、こうした立憲主義を「王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考え」と軽視し、現行憲法によって日本の国民が損得を価値判断の基準とする弊害をもたらした、と考えています(衆議院で答弁、著書から)。

  • 自民党改憲草案から

    自民党の改正憲法草案はホームページからも読むことができます。⇒日本国憲法改正草案
    「すべて国民は、個人として尊重される」が「すべて国民は、人として尊重される」に代わり(13条)、人権を制限するものを「公共の福祉」でなく「公益及び公の秩序」と変えています(12条)。このことは憲法の土台である個人の尊重を薄めています。そして、民主主義にとって重要な表現の自由への規制も強化されています(21条)。
    9条の改正は、自衛の名のもとにあらゆる武力行使を可能にするもので、集団的自衛権の行使容認はその前段の準備と言えます(9条の2)。自民党は改正草案では、制限ばかりでなく新しい人権を追加していると言っていますが、条文を読むとどれも義務・責務規定です(19条の2、21条の2,25条の2,25条の4)。
    さらに、最初に改正に着手しようとしている憲法改正発議条件の変更、衆参両院の過半数の賛成(現行は3分の2)は少数者の意見が反映されにくい日本の選挙制度の中で、最も人権が守られなければならない少数者の声が反映されないままに憲法改正が発議されることになり、立憲主義がここでも危機に陥ってしまうことになりかねません(100条)。※条はいずれも自民党改正草案。

  • 決めるのは私たち

    左から日向みさ子、金子匡良さん、さとう悦子、平野ひろみ

    左から日向みさ子、金子匡良さん、さとう悦子、平野ひろみ

    この改正草案で安倍政権は何をめざしているのでしょう? 重大な憲法改正を、具体的な内容を示さずていねいな説明もないまま選挙の争点の一つにしようとしている態度そのものに安倍政権への不信感が深まります。
    改憲か護憲か、その問いの前にまず知憲。立憲主義を守る条件の一つは法に支配されようとしない権力者を排除しようとする国民の意思と行動、と学びました。その意味では未来は私たちの手中にあります。よくわからないうちに誰かに変えられてしまう、なんて絶対にごめんです!