図書館を文化・芸術発信の拠点に――伊万里・武雄視察報告

2014年7月25日 23時24分 | カテゴリー: 活動報告, 環境・まちづくり・行政

 7月16日、17日にかけて佐賀県伊万里市と武雄市の図書館を会派視察しました。どちらも全国的に有名な図書館で地理的にも遠くないことから、一方を訪れるともう一方も行く人が多いようです。対照的ともいえる二つの図書館について感想を交え視察報告します。

市民がつくる文化と自治の拠点、伊万里図書館

表示パネル 図書の分類パネルはすべて伊万里焼。細かい部分にもこだわりがある。

 まず、訪れたのが伊万里市民図書館。「市立」でなく「市民図書館」の名前のとおり、市民のための図書館としてつくられ、設計前から市民が意見を出し合い運営にも携わっている市民参加型の図書館です。建物や内装にもこだわりがあり、中庭を配置した空間や和室や書斎風の部屋、登り窯を模した読み聞かせのためのお部屋などワクワクする感じは文化・芸術に親しむためには大事な要素です。

中庭 中庭でくつろげる空間も。椅子に座って本を読んだりイベントにも使われる。

本の分類表示のパネルはすべて伊万里焼だったり、中庭にさりげなく伊万里焼の椅子が置いてあったりと地域の特色も出しています。
 レファレンスも充実していて、市民図書館に通い特許をとって事業を起こした人や本を書き上げた人もいるとのこと。館内には腰を下ろして本を読める場所があちこちに配置され、「本を読む」という目的が自然な流れでできる感じです。

子どもの本コーナー 図書館の中に木が! 楽しいしかけがあちこちに。

 館内にはサークル専用の部屋があり、布絵本のサークルがミシンを使うことを考慮してコンセントが多めにあったりと、市民の声を反映したからこそのきめ細かな造り。ホールではさまざまな市民企画のイベントが開催され、中庭も合わせて使っての利用もでき、先日はJAZZのコンサートを楽しんだということでした。

登り窯のへや 登り窯を模した読み聞かせの小部屋の天井には星座のイルミネーション

地域の人たちに愛される文化・芸術の拠点、そして市民の活動の拠点、まさに地方自治の拠点であることが条例にも明記され、そのことが伝わってくる伊万里図書館でした。 

 

 

 

本の販売も行う図書館、賛否両論の中、来館者数は3倍以上に

図書館前 建物は新築ではなくもともとあった図書館の改装

 翌日は、同じ佐賀県内の武雄市の市立図書館へ。ここはCD・DVDレンタルや書店を経営するTSUTAYA(蔦谷書店)の系列事業者が指定管理者となり、斬新な運営で有名な図書館です。朝、到着すると図書館の前には多くの人が集まっていました。これは私たちと同様、視察に訪れた人たちで大きな会議室で30数人が同時に説明を聞きました。

館内光景 吹き抜けで広々とした空間。館内にスターバックスカフェがある。

 建物はもともとあった図書館を改修したとのことでしたが、吹き抜けのすてきな空間でした。入るとすぐに陶磁器関係の本が並びディスプレイやセレクトが図書館というより本屋さんのようだと感じました。それもそのはず、入口前の一角は販売コーナーなのです。外資系の大手カフェチェーンも入り、建物の一角にはTSUTAYAの店舗としてのレンタルもあります。これらはすべて公共施設の目的外使用で入っており面積的には全体の3割ほどということでした。
 視察説明ではこの図書館づくりをリードした市長が自ら説明。大きな書店のない武雄市での図書館のあり方を考え、TSUTAYAの社長と直接交渉して進めたとのことでした。市長はかつて総務省に勤務し指定管理者制度の創設にも携わったとのことで、正直進め方はワンマンだという印象を持ちました(市長自ら認めていますが)。小平市でこのようなトップダウンの進め方で事業が進めば、私は議会に身を置く立場としては異議を唱えるだろうと思いました。

平置き図書 図書館内で本の販売もしている。大きな書店がない武雄では好評というが。

 実際に武雄市でも議会は非常に紛糾したようでしたが、図書館のオープン後は来館者数は3.6倍、利用者は貸し出し者数は2倍、貸出冊数は1.6倍に。図書館や公共施設のあり方をどう考え、税金をどのように使うか――私は小平で武雄のような図書館が必要とは考えてはいませんが、武雄には武雄の地域特性もあるのだと実際に見て思いました。商業施設という批判もあり否定できない面がありますが、空間としては非常に居心地のよい空間です。
 伊万里と武雄の図書館、どちらかというと私は伊万里型の図書館づくりを進めたいですが、大事なのは市民の話し合いの場です。文化・芸術は与えられるものではなく、市民自らが創造していくもの。「こうあるべき」にこだわりすぎず、小平の図書館の守るべきものは守っていきたいと感じました。