夏の雲は忘れない

2008年8月10日 16時47分 | カテゴリー: 人権・多様性, 活動報告

 8月5日、国分寺市のいずみホールで「夏の雲は忘れない 1945・ヒロシマ ナガサキ」と題した朗読会が上演されました。出演は、女優の高田敏江さん、松下砂雅子さん、寺田路恵さん、大橋良枝さん、柳川慶子さん、北川昌子さんという錚々たる女優陣です。
 この公演は演劇集団地人会が1985年から23年間毎年上演してきた、原爆手記の朗読会です。昨年地人会が解散したため、出演してきた18人の女優さんたちが原爆の悲惨さと平和の大切さを伝え続けた公演を途絶えさせないようにと、自ら「夏の会」というグループを立ち上げました。全国各地で上演のための実行委員会ができ、国分寺上演の実行委員会には小平市民の方も含まれ大きな力を尽くしました。
 当日は満席。上演が開始すると、写真や音楽を駆使したスクリーンの効果もさることながら、女優さんたちの静かだけれど力強い朗読に、そのときの広島や長崎の“現場”の光景が聞く者の脳裏に鮮明に浮かび上がり、圧倒的なリアリティを持って原子爆弾のむごさが伝わってきました。
 朗読されるのはすべて原爆体験者の手記です。当時子どもだった人が回想して書いているものや母親としての文章、詩などスタイルはそれぞれですが、戦争の悲惨さはどんな明晰な論理をもってしても説得力を持たないことをあらためて思いました。戦争によって暴力的に奪われる私たちの身体性は、これ以上に説明しようのない原点です。命や平和というと抽象的でセンチメンタルな感じですが、人間の身体を一瞬にして無にしてしまうというその事実を知ると、命も平和も生々しいリアリティを持ちます。朗読という形で人の声を通した表現だからこそ、人の命のリアリティが増したような気がします。
 朗読には立川女子高等学校の生徒さんや地元の朗読会のメンバーも参加し、公演後に若い世代からのメッセージを聞くこともできました。平和な時代しか知らないからこそ、この平和を守るために戦争のことを正しく伝えていかなければなりません。