キッズパス

2008年6月9日 22時43分 | カテゴリー: 子ども・教育

◆見守りシステムって? 
 交通事故や犯罪、子どものことを心配するのは当然の親心です。元気に「ただいま!」と帰ってくるわが子の顔を見るのがあたりまえの日常ですが、「もし……」と心配になってしまう気持ちも、子育て中の身としてとてもよくわかります。
 でも、最近こんな親の心配や不安の中で、安心ビジネスといってもいいような動きが出ていることがとても気になります。インターネットや衛星技術を利用した新しい技術がそうです。もちろん、メリットもあることは認めますが、同時に子どもの行動を管理してしまいがちになる、サイバー上で不確かな情報が流れる、個人情報の問題などなど考えなければならないことがたくさんあります。何より、私たち親は子どもがのびのび遊べるまちを望んでいるのに……、と思い昨年の12月議会で「子どもがのびのびと育つための安全対策を」と一般質問をしました。
 そして、先日6月2日から市内の全小学校で、地域児童見守りシステム(通称キッズパス)が始まりました。これは、子どもたちがSuicaのようなカード(ICカード)を持ち、学校に着いたときと下校時にリーダーにかざして、親のケータイやパソコンにその時間をメール配信するというものです。リーダーは、Suicaで言えば改札機やコンビニのレジにある読み取り機のことで、ピッと鳴るあれです。
 キッズパスは市内小学校で行われていますが、事業を行っているのはNTT東日本がイニシャチブをとるこだいら地域見守りネットワークです。協議会は各学校や教育委員会、そして地域関係者、そしてこのシステムを提供するNTT東日本が参加しています。
 規約には4者が協働してとあるので「NTTがイニシャチブをとる」というのは正確には少し違うのかもしれません。でも、キッズパスはNTTなしではありえないのであえてこう書きました。

◆子どものことを考えるのは誰?
 この地域児童見守りシステムは2007年度の総務省のモデル事業としてまず八小と六小で始まりました。文部科学省ではなく、総務省のモデル事業であることに注目してください。総務省は通信事業を管轄しています。つまり、この事業は「どうやって子どもの安全を守るか」というお試しではなく、「IT技術をどう子どもの安全に使えるか」のお試しなのです。ですから、今年の春に提出された事業の成果報告は、会議の経過や参加人数などの利用状況、操作上の質問などが主で、このような技術が子どもたちの行動や親の心理にどのように影響するか、または教育的見地からの意見は一切見られません。保護者からの意見は使うことを前提としたものを主に取り上げられています。提出先が総務省だからこれでよいのでしょう。
 今回キッズパスに参加申し込みをしたのは、全学校児童9397人のうち2883人、約3割の人です(5月7日現在)。去年はモデル事業として総務省からNTT東日本に7500万円の委託金が出ていたので、無料で使用できましたが、今年からは全額自己負担で年間3150円が必要です。
 利用者は低学年が多く、学校を出た時間がわかるというメリットや親御さんの心配な気持ちを考えれば参加申し込みすること自体を否定はできません。しかし、教育現場には解決しなければならない課題が山積していることを考えると、公費をつぎ込まないとする市の姿勢はとても納得できます。いまは類似の安全システムが普及し、それほど高くない金額で利用できる状況も整っています。

 リーダーの前で子どもが危険な目にあっても、機械は子どもを助けられません。小平には子どもたちを見守ってくれる地域の目が残っています。このシステムが小平にやってきたことを、私たち親世代が子どもたちをどうこのまちで育てたいかを考えていく良いきっかけにしていければと思います。