虐待防止は児童相談所だけではムリ!

2007年4月4日 09時17分 | カテゴリー: 子育て支援・女性・男女平等参画

●子どもに関わる機関はすべて連携し、子育てに安心感を——②
 もちろん、暴力や育児放棄などの子ども虐待は許されるものではなく、罪に対して罰を受けるのは当然です。しかし、虐待は子育てにつまずいた親を見つけ出し監視したり、罰するだけではなくならないのではないでしょうか。
 以前、厚生労働省の外郭団体の仕事で虐待防止の冊子を作りました。そのとき、保育園の園長など現場で親子を見守る方たちの取り組みを取材し、いかに連携ということが大事かということを知りました。
 虐待事件の報道では、常に児童相談所の責任がクローズアップされます。児童相談所は立ち入り調査や施設入所の決定などの権限を持ち、子どもにかかわる深刻な問題を扱う特別な機関であることは言うまでもありません。
 しかし、現実問題として虐待を児童相談所だけで対応するのは無理です。小平市にはたまたま児童相談所がありますが、これは東京都の機関であり、管轄するのは小平市だけではなく小金井・東村山・国分寺・西東京・東大和・清瀬・東久留米・武蔵村山市と実に9つの自治体にまたがっています。できることに限りがあるのは当然なのです。
 児童虐待防止法では、自治体も虐待の通告先になっており、ほかの機関と連携して虐待防止を図ることが明記されています。子どもにかかわる機関、保育園や幼稚園、学校、病院、子ども家庭支援センター、主任児童委員・児童委員などが定期的に集まり日ごろから情報交換をし、問題を抱える親子を見守る体制をつくることでしか虐待は防げません。
 たとえば、虐待に気づいた保育園が児童相談所に連絡し、見守ることが決まればさらに主任児童委員・児童委員とも協力して、保育園のない日曜日や祝日には様子を気にかける。そして、いざというときには連絡を受けた児童相談所が最終的な決断をする……
 この連携の軸には地域行政が責任を持って入るのが最も効率的です。各機関は縦のつながりで見るとそれぞれに管轄が違い、調整と連携がうまくとれないと一刻を争うときには役目を果たせないからです。
 情報収集を一極化し、日ごろからの連絡や会議を密にして動いている例としては、大阪府の泉大津市の児童虐待防止ネットワークが先駆的です。1999年にでき、愛称を「CAPIO」といいます。CAPIOには、医療・保健・福祉・教育・警察・消防・主任児童委員・児童委員などの機関が加わり、各機関の代表者・管理職で構成する「代表者会議」と職種の実務者の代表で構成する「実務者会議」との2段構えで連携を図っています。市の児童福祉課が事務局となり、会議の設定や情報収集と調整を行っています。
 こうした体制を整えることで、子どもの育ちにかかわる現場の人たちが日ごろから顔見知りになり、深刻でデリケートな問題を話し合うことができる信頼関係と親密感を築くことが大事だ、というのはとても説得力のある話です。
 
「子育てが特別なものになってしまった」社会の中でこれからの子育て環境を考えると、子育てにかかわる機関の連携は、虐待防止の観点だけからではなく重要な次のステップになっていくでしょう。
 地域社会の中に普段から子育てを見守る目があり、若い親や小さな子どもに声かけをするのも当たり前だった時代は残念ながら失われてしまいました。それは、私たちの社会が進んできた道です。
 失ったものを新しい形で取り戻すためにも、子育てにかかわる機関がネットワークし、地域全体で子どもの育ちを見守る(監視ではなく!!)まちづくりで子育ての安心感を生み出したいと思います。 それが広い意味での虐待防止にもなるのではないでしょうか。