少子化対策として最優先なのは?

2007年3月4日 23時37分 | カテゴリー: 子育て支援・女性・男女平等参画

 昨年の5月、少子化対策推進専門委員会が報告書をまとめました。委員会は、子育て支援や労働問題の専門家ら8人で構成され、トップは当時の猪口少子化担当相。この報告書では、少子化対策の最優先課題を「働き方の見直し」と「地域や家族の多様な子育て支援」とし、子育ての安心感を保障することが何より大事としていました。
 私は、ちょうどこの時期にある保育専門誌の仕事で、この委員会のメンバーである子育て支援の専門家の先生とお話しする機会があり、いろいろと考えることがありました。

 「気兼ねなく育児休暇をとりたい」「もう少し早く仕事を切り上げてお迎えに行きたい」——働くお母さん、そしてお父さんたちはそんな本音を持っています。でも、仕事の現場ではなかなか言い出せないのも現実です。「働き方の見直し」は、そんな切実な本音を個人の努力だけで解決するのでなく、社会全体で見直していこうという提案でした。
 同時に、共働きか否かに関わらず親だけが孤軍奮闘でがんばるのではなく、さまざまな形で子育て支援のメニューを取りそろえ、子どもの個性や成長過程、親のライフスタイルに合わせて地域でバックアップしていくことがあらためて重要とされました。
 私はこの専門委員会の提案にとても共感します。子どもの成長に合わせてある程度時間にゆとりの持てる働き方、まさにワークライフバランスの実現が求められているのです。
 同時に、待ったのない子どもの育ちには親だけでないたくさんの大人の手が必要なことが提言されています。これは、日本の地域社会で昔から行われていた子育て・子育ちの姿でもあったというお話を他の専門家の先生からも聞いています。

 しかし、この専門委員会のまとめを受けて猪口大臣(当時)が経済財政諮問会議に示した新たな少子化対策案では、この2つの優先策よりも経済的支援のみが強調され、8人の専門委員のうち6名が連名で抗議声明を出すという動きもありました。
 結果的に、6月に出された政府の「新たな少子化対策」には一部働き方の見直しも明記されましたが、その後の動きを見ていると抜本的に取り組もうという姿勢は見られていません。
 少子化対策はお母さんと子どもだけの問題ではなく、社会のあり方そのものにかかわる問題です。まして、「女性ががんばってたくさん子どもを産めばいい」という単純な問題では決してないのです。
 働き方の見直しは、まず地域の中で若い世代の本音を聞いていくことから始めなければと思います。そして、子育て支援の多様性も地域のニーズをつかんでこそ実現します。
 人口減少という数字上の問題ではなく、一人ひとりの顔が見える「生き方・くらし方」の問題と考えてこそ、少子化対策も生きてくるのではないでしょうか。